しかも梅雨入りしたし

ロッキー・エリクソンもこねぇし、
仕事は忙しいし、
足は短いし、
左目の二重まぶたも下手な漫画の主人公みたいな感じで定着しちゃってるし、


もやもやするわ〜




こう言う時は軽快な音楽でなんとかしよう。


Stereolab。


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チープでポップ、
モンド感溢れるアナログシンセサイザーのローファイな音色

恥ずかしげもなく、
クラウトロックからの影響ぶりを公言するかのようなハンマービート
(ほとんどノイ!そのものと言った曲もある)


それらを中心とした楽曲に


レティシア・サディエールの儚さのある歌声
(彼女の母国であるフランス語で歌われることも多く、
その言葉の響きがよりそう感じさせる)

メアリー・ハンセンのキュートなコーラスが織りなす、
サルサ風のボーカルが合わさると
どちらも最先端のものでは無いにも関わらず、近い未来を思わせる、

(フィルムノワールの描いた未来、
とりわけゴダールのアルファヴィルとか…)

当時 “レトロフューチャー” と呼ばれたステレオラブの楽曲が現れる。




随時更新、私的好きなバンド五指に常に入る
Canの “Future Days” も
そう言えばレトロフューチャーですね。

ブロードキャストとも近しいかな…

この手の曲が好きなのかも知れない。




このバンドざっくりとした経歴としましては
元々マッカーシーと言う、C86系のバンドで活動していたティム・ゲインが
フランスツアー中にレティシア・サディエールと出会い
マッカーシー解散後にめでたくステレオラブ結成、と言う流れ。

(その後二人は結婚し、無事離婚を果たすと言う
なんとも王道な歩みっぷり)




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96年リリースのこの「エンペラー・トマト・ケチャップ」は彼らの5枚目のオリジナルアルバム。
一番好きな作品です。

プロデューサーにはポートランドの多才、
トータスおよびシー・アンド・ケイクのジョン・マッケンタイアを起用。


ギターサウンドがメインであった過去作に比べ
味があったり、コミカルだったり
モンドチックなシンセの占める割合が大幅に増し、
一曲一曲の個性が粒立っている印象。


中でも#2、
「Cybele's Reverie」
は屈指の名曲。

この一曲をBGMに架空のフランス映画のトレーラーを作れてしまえそうな
流麗な起伏に富んだ、
叙情的なナンバー。

レティシア、メアリーの
(そしてサビでのレティシアのバッキングも)
ボーカルは素晴らしく
ストリングスを前面に、
チープな電子音がバンドサウンドの隙間をカラフルに彩る。


この曲も数少ない「100回コース」のひとつですね。
アルバムを流すと、
2曲目でリピートワンを指示してしまう。




このアルバムに限らず、良作揃いの彼女らですが
メアリー・ハンセンが事故に遭い 他界してから程なくして活動が鈍化し、
09年より完全に休止。

(2002年に亡くなってしまった彼女に捧げられたのが
スペクトラムの “Mary” である)


その音楽はレティシアのソロアルバムで断片的に聴こえるにとどまっている。




と思って聴くとこれは
酸いも甘いも (かなり甘さ控えめではあるけれど) 体験できる、
この人生の挿入歌のようにも感じられる。

生きてるだけで丸儲け、じゃないけれど
悪い面ばかりに目を向けるのは損ね。
(シメが真面目〜)


Stereolab - Cybele's Reverie

by tspacemen | 2015-06-12 02:28 | music | Comments(0)

雑記

by 鈴木 健郎