ビートニク映画祭にて「キャンディ・マウンテン」

昨日に引き続き 残り一回分のチケットでビートニク。


昨日の「チャパクア」では撮影を担当していた写真家、ロバート・フランクと
ルディ・ワーリィッツァー二名の監督による
「キャンディ・マウンテン」
を見た。

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かつて売れないバンドマンとして活動していた主人公が
ひょんな事から伝説のギター製作者の存在を聞きつけ、
自らの成功、金の為に彼を探す旅に出ると言ったロードムービー。


まず何がすごいって出てくる大概の人間がろくでなし。

The Clashのジョー・ストラマー扮するギタリストは
主人公のギターを借りパクした挙句
取り戻しにきた彼に銃を突きつけて脅し、
ギターの代わりに ただ働きのステージミュージシャンの仕事を押し付ける。

そのステージのメインボーカリスト(トム・ウェイツ)とその取り巻きは ビジネスの成功しか頭に無く
消息を絶った伝説のギタービルダーを金の為に探し求める。

共に旅に出ようと連れ出した彼女は早々にゴネ出し、
ハイウェイのガソリンスタンドで彼の車を奪って消えてしまう。

それを一部始終見ていたおやじは
唯一の手がかりであったビルダーの弟の家へと彼を連れて行ってくれるが
それは哀れみからでは無く、しっかりと金をふんだくる。

そのビルダーの弟も弟で、
兄が住む家の住所と引き換えに車を一台売りつけ…


と、出る人出る人が主人公から金を 車をむしり取ってゆく。
中盤以降になるとこっちも慣れてしまって、
むしろ善意の人間が現れる事に驚くほどだ。


そもそも主人公自体、
気に入らない仕事をその場で辞めてしまったり
ビルダーの知り合いを騙って 彼の捜索の為の手付金を手に入れているなど
よほどダメな奴なのだけれど。




何かを利用して目指すものへ近道しようとしたり
安直な考えで行動したりした所で
本当に到達したい場所へは容易に辿り着けるものではない。

笑いの要素を多く盛り込んでいながら
物事の本質を鋭く突いた作品であったように思います。


そして時として現れる 助けの手を差し伸べてくれる人々に対する主人公の態度は
利用しようとする他の人達へのそれとは異なり
とても真摯でピュア。

暖かいアクションには、同じく暖かいアクションが返ってくるものだな、やはり。




心無しか普段の自分とは歩き方が違う気がしますが、
これは絶対映画の影響だ!

いずれも印象深い、良い作品でした。




ビートニク映画祭は28日まで各日プログラムを変えて開催中。

ドラマチックな事なんて無くても
日常そのものが美しく、意味のある物なのだと宣言した ビートの世界に
この機会に触れて見みてはいかがでしょう?
(よし、まとまったかな?)
by tspacemen | 2014-03-23 23:54 | days | Comments(0)

雑記

by 鈴木 健郎