Dark Horses / Black Music

彼らを知ったのが09年
ようやく初のフィジカル音源が出たのが10年(しかしアナログ)
そして待望のフルアルバムが去年ついに発表。


退廃的で 殺伐とした 突き放す様な冷たさを持つ
スウェーデン出身のエクスペリメンタル・ニューウェーヴ・バンド


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ダーク・ホーセズ。




デス・イン・ヴェガスのリチャード・フィアレスがプロデュースした1st Single
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「Alone」(Ltd500)
において 病的かつ無機質で仄かにダンサブルな
(それはイギリス、The Killsの「Cheap And Cheerful」をアンドロイドが演っているかのような)
ニューウェーヴ・サウンドと
怪しげなシンセ、どこまでも無感情なヴォーカルを聞かせてくれた彼女ら。


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待望の今作では
The XXにも通ずるモノクロームのミニマルさ
この手のアーティストの常套手段であるシューゲイジングなノイズギター
時としてアトモスフィックなエフェクトや
まさかと思うようなフォーキーサウンドを取り入れた、
長年待たされた事をチャラにしてお釣りがくるような 素晴らしい作品に仕上がっています。


上記のように温もりの感じられない、
日の光の当たらない不穏な雰囲気が全体を占め
(サイケのラブ&ピースでは無い、より)禁欲的・呪術的な密教感を散見する事ができる。
そこから連想されるヴィジュアルはロシア周辺諸国の荒廃した街の宗教施設。

ロシアン・バンドにもロシアの伝統音楽にも全くの無知ですので
もちろん今回も僕の勝手なイメージでくっちゃべっております。

さぁイマジン。




おっと、忘れていました。
メンバーは以下。

Lisa Elle : Vox,Harmonica
Bobby Waterson : Guitars,Synths
Stephen Imgham : The Drums
Andy Bang : Guitars
Harry Bohay-Nowell : Electric Bass
Tommy Chain : Percussion
Ali Tollervey : Camera


…カメラ?


そう、彼らはマイスペースのジャンルに“Visual”とある通り
写真、映像、グラフィックを担当する
メンバーがいます。

彼らのトレードマークである “ウジャトの眼” はエジプト神話における
ヘリオポリス九柱神の一柱、ホルスの眼の事で
エジプトっぽいものを想像した時に
ピラミッド、スフィンクス、ファラオの仮面、アヌビス神などと共に浮かんでくる
割とポピュラーなモチーフですが
円と組み合わせ ソリッドかつダークな
ニューウェーヴ感のあるグラフィックとなっております。

これカッキー!


(余談ですが、エジプト神話が興味深すぎて
一時期図書館に通い詰めていた事がある。

時代、地域によって善の神様が急に極悪にされたり、
また逆に 王の地位向上のためにマイナーな神がいきなりドカーンと地位が高くなったり、
飢饉や日照りなどによっても崇拝対象が変わったりと
民衆の心の拠り所としての宗教を地で行く感じが面白い)


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また、紅一点リサのブッ飛んだメイク、ソリッドなファッションもクール。
ロッタ・スケルトリックスとかニコラ・アンドレア・タラリス、
近年だとガレス・ピュー何かが似合いそう。

スキニーで美人、いいわねえー。
(まあそう見える画像を選んだんだけれども)


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VoxのPhantomも激烈似合う。
(男で一番似合うのはイアン・カーティス。間違いない)




#2 Radioの浮遊感とも陶酔感とも
また覚醒感とも酩酊感とも違う様な 啓示的なシューゲイズ。

#3 Aloneについては前述の通り。
実験要素が紙一重でポップに消化された
黒のシフォンの幕そよぐガレージナンバー。

#4 Boxing Dayはリチャード・フィアレスの趣味とも思える
ザクザクとしたドラムにミニマルにポンピングするベースライン。
そこに寄せては返す黒々とした水のようなノイズ。
冒頭からループするミニマルなシンセが溜まりません。

#5 No Dice
#7 Trapsでは
瓦礫に囲まれた無人のモスクに響くような
耽美的かつソリッドなサイケデリックを体験。

#11 Road To Nowhereにおいてはフィアレスの影響が強くうかがえる、
Death In Vegasの曲にLisa嬢がゲスト参加したのかと思える様な
牧歌的かつファンク風味の感じられるナンバー。

#13 Anna Minorは終盤にエクスペリメンタルなギターが全体を支配しますが
それ以前はハーモニカと相まって
ホープ・サンドヴァルのソロ一作目を思い起こさせる…


など
まさかこれほどに広いレンジで曲が作れるとは思ってもみませんでした。

ニューウェーヴ一辺倒だと思ってた(ごめんね)




紹介しているアーティストやアルバムは、
どれももちろん好きだからこそ記事にしているわけですが
このダーク・ホーセズはその中でも かなり好みど真ん中。

結構な時間を待たされた上、こんなに趣味ズバリなアルバムを残して
また長らく沈黙に入ってしまわれてはたまったものではありません。


今後の活発な活動を期待。

日本は良いとこだぞ〜(カムカム)


Dark Horses / Alone



Dark Horses / No Dice



Dark Horses / Radio

by tspacemen | 2014-03-10 21:06 | music | Comments(0)

雑記

by 鈴木 健郎